- 平塚知真子
新井先生のTEDを見て
NetCommonsの開発者で、今では「ロボットは東大に入れるか」プロジェクト(略して東ロボプロジェクト)のリーダーとして著名な新井紀子先生が、今年4月のTED2017 | The Future Youでスピーカーとなりました。
カナダのバンクーバーで開催されているTEDカンファレンスという本家本元でスピーチをした日本人としては、おそらく3人目だろうと思います。これで世界的に著名になった、ということですかね。
今回、人工知能のスペシャリストとして招聘されたとのこと。本当にスゴイことです。
新井先生がTEDで世界に向けて語った「危惧」とは・・・。
9月に入ってようやく新井先生のTEDが閲覧できるようになりました(まだ英語ですが)。 また、海外の記者さんが書いた感想の記事も発見。
AIで東大目指した「東ロボくん」開発者がTEDで語った危機感
新井先生は常日頃、「AIは、理解することができない。考えることができない。」とおっしゃってまして、
その言葉の意味について、今ひとつピンと来ていなかった私ですが、最近、ようやく腑に落ちてきたなと思う瞬間があります。
私なりの言葉で解説するなら、
AIやプログラミングは、あらかじめ指示されたアルゴリズム(=プログラムされた)通りに、大量のデータを組合せて成果を超高速で出すことができます。
しかし、アナログなツールや人間は、一歩一歩、AIに比べれば、大変な手間と時間をかけてそれを処理していく方法しかありません。
「処理」だけを比べれば、AIが圧倒的に勝ちますが、
「処理」だけでは世の中できていません。
「なぜ」それをやるのか、相手によってはやり方を変えてみたり、
まったく経験したことのない状況に対して、「カン」を働かせてみたり、
人間は、「理解」し、「考え」、そして「処理」をしているわけです。
感情があるから、理屈だけで動かないのも人間です。
今までの社会は、そのヒト(人間)がどれだけの「知識」を持っているのか、
その「正確さとか量」で優劣を判断しました。
教育も、戦後の高度成長期のニーズに応じた、優秀な大量のサラリーマンを輩出するために組み上げられたままの状態です。
これからのAI時代にヒトに求められるものは、知識そのものではなく、その知識をつなぎ、組み合わせて、
どんな「成果を出せるのか」。そしてその成果にはどんな「意味」を持たせるのか。
人間として、ちゃんと納得できる未来を創出できる能力を身につけることが非常に重要なんだろうな、と思う今日このごろです。
なぜなら、「知識」の量と「処理」のスピードではもう絶対にAIには敵わないから。
新井先生は、教育がこのままだと、人間が次第に「劣化したAI」のような存在になってしまうと危惧され、
今すぐにでも変えなければいけない、という強い危機感を持たれているんじゃないかと私は密かに思っています。
子どもたちの未来を真剣に考えるなら、やっぱり今、変わらなければいけないと私も思います。